THE ラブ人間
- nishi-kaze
- 2016年3月1日
- 読了時間: 18分

バンドとしては3年ぶりに、そして新メンバーが加入してからは2年越しで、フルアルバム『メケメケ』をリリースしたTHEラブ人間。3月からはバンド史上初となるワンマンツアーが始まる。
この度、金田康平と坂本遥の2人が、私達のインタビューに答えてくれた。
6人になったTHEラブ人間は立ち止まることなく、しかし焦ることもなく、試行錯誤と挑戦と互いのコミュニケーションの中でバンドと向き合ってきたのだということが、このインタビューを通じて感じ取っていただけるのではないだろうか。
Interview:Miyaco/Photo:MiNORU OBARA
―3年ぶりのフルアルバムリリースと言うことなんですが。新メンバーが加入してから今作の発売まで2年かかったのには理由がありますか?
金田:アルバムってできた曲を入れるものではなくて、6人のTHEラブ人間が何をやるか、何をしたいかを探してから作れるものだと思ってて。それを探すための実験を何回も繰り返すのに、シングル1枚とミニアルバム2枚が必要だったのかなと思います。実験しながら何がしたいか、何をやらないかを録音していったという感じですね。
―6人でやることを、曲作りやライブをやる中で探っていた?
金田:毎回、何かを試ながらやってました。
坂本:そう、まだお互いが底知れなかったというか。どこまでできるのか、何が好きなのか、どう変わっていくのかは、作っていかないと見えないしライブをやって行かないと見えないから。ひとつひとつ試して、「もしかしてお前ってこんなやつなんじゃない?」っていうのが少しずつ見えてきて、それでやっとフルアルバムを作ろうっていう気持ちになれたのかな。曲自体はたくさんあったんだよね、レコーディング方法もいろんなことを試したし。こんなのが合うんじゃないかなっていうのは、個人的には見つけつつありますね。
―アルバムを出せる段階へ徐々に近付いていったという感じなんですね。新メンバーが加入してすぐの頃、広島でもライブをしてくれましたよね。2014年4月、横川シネマという映画館で。
金田:あれは映画館で歌えるのがめちゃくちゃ楽しかった。
坂本:広島で初めて“幸せのゴミ箱”を披露したんだよ。
金田:そんなに早くやったんだ?加入してすぐにやってたんだね。
―個人的には、新メンバー加入直後、その半年後、その更に1年後っていうタームで皆さんのライブを拝見したんです。最初は凄くフレッシュな感じがあったんですけど、どんどん6人が噛み合っていってるのが明らかに見てとれて。その辺り、自分達ではどう感じますか?
坂本:いい作品を作ろうっていう気持ちとか、いいライブをしようっていう気持ちがどんどん重なっていって、バンドのグルーヴが上がっていくのはすごく自然なことだったと思う。
金田:部活ですね。神聖な道場で稽古するわけですよ。で、部活が終わって、先生が「お前ら掃除しとけ」って言って帰って行くんです。そしたら生徒が上履きでズカズカ入ってきて、どこかから盗んできたボールでフットサルを始めるんですよ。それで、神棚に思いっきりフリーキックを決める。そういう、内部にしか分からないノリみたいなものがバンドには絶対にあって、そこを共有しないとライブも音楽もよくならないっていう、なんとなくの持論があるんですよ。メンバーにしかわからない決壊を張っているような内部のノリがあって、その決壊を一度破ると、そこにある全てを飲み込めちゃうんですよね。でも、ノリ自体がぬるいと飲み込み方もぬるいっていう。そのノリがどんどん合ってきたんです。
―坂本君は、この2年間で気持ちの変化はありますか?
坂本:みんなで良い音楽をやろうっていうのはずっと変わらないけど、その範囲が広がったというか、かゆい所に手が届くようになったというか。金田君の表現したいことの微妙なニュアンスが分かってきたり、そのノリが分かってきた感じがあります。それは音楽面でもそうなんだけど。
金田:音楽面で言えるよね。こいつはこういう弄り方をしたらこういうニュアンスでギターを返してくれるだろう、とか。元々いた4人が新メンバーに変わらされたっていう感じの方が強いかもしれない。新メンバー2人の面白い所をたくさん引き出そうとしたし、出てきたものを(バンドが)全部吸収した感じじゃないかなと思いますね。
―2年前の新メンバーお披露目ツアーの頃に、ツネ・モリサワさん(Key)が「最近金田が変わった」と話されていたんです。それについて、ご本人に聞いてみたいなとずっと思ったんですけど。「バンドを続けることに意味があるのではなく、時代に合せて進化することが大事だと、最近の金田は思ってるんじゃないか」って仰っていましたが。それについてはどうですか、その頃に何か気持ちの変化があったんでしょうか。
金田:普通にまず、バンドを続けることに全く意味はないと思いますけどね。そこに意味はなくて、燃えつき続けることに意味があるんですよ。毎回毎回燃焼し続けること、やり切ることに意味があるんです。ずっと同じことをやってるバンドが20年25年続いてたとして、それは凄いことだとは思うし様式美なんでしょうけど、でも俺は燃えつき続けることに意味を感じます。ただ、その頃にそう感じてたと言うよりは最初からずっとそう思ってる。だから、ファーストアルバム(『恋に似ている』)の頃からずっと、作品毎に毎回でっかい実験を繰り返すっていうやり方をしてますね。『恋に似ている』は単純明快にやるって決めてて、セカンドアルバム『SONGS』はその真逆。例えばラジオで3分以内の曲がいいって言われたら7分の曲を書く、そういうことをやったんです。一曲の中に情報量を最大限まで詰め込むっていうのは、ファーストの時にはやらなかった。
坂本:『SONGS』は超ストイックだよね。すごく好きなアルバムなんですよ、フレーズが迫って来る感じがするっていうか。
金田:聴くのに体力使うよね。毎日は聴けないけど、一回で人生がグラっと変わるようなアルバムを作ろうと思って『SONGS』を作って。それはもうファーストとは真逆ですよね。
坂本:逆にサードアルバム(『メケメケ』)は、また新しいことをやり尽くせるぞっていう段階だったのかもね。
金田:ここまでのシングルとミニアルバムも、毎回、前の作品とは違う方法でやってきてるし変化してるので、それが『メケメケ』では最終地点かな、四部作的なところはあるんで。
―そうなんですね。今作『メケメケ』には、シングルの曲もミニアルバムの曲も収録されているし、ここ2年間の集大成という意味もあるのかなと思いました。
金田:6人になってからの2年間、もしくはその前の1年間も含めたセカンドアルバムからの3年間の総括ではありますね。ファーストを出したときに「青春期終了」って言ってセカンドの制作が始まって、そのまま続くと思ってたけどメンバーが抜けて断絶してしまって。どうしようかと思ったけど次の季節を始めるしかなくて、止まってる場合じゃないなって思ったからすぐ(次の活動を)始めました。でもいいね、(2014年)1月に新メンバー入って、4月の広島のライブですぐ新曲やってるのは本当に止まってなかったね。
―ミニアルバムの表題曲やシングル曲をアルバムに入れずに、それぞれを作品として独立させてるアーティストさんもいらっしゃると思うんですけど。
金田:俺達の世代って、シングルの曲達がアルバムに入ってるのが当たり前だったし、それが良いのにね。ファーストの時は、先行リリース(EP『これはもう青春じゃないか』)のリード曲が“これはもう青春じゃないか”だったんですけど、アルバムには合わないと思って入れなかったんです、その代わりに“西武鉄道”を入れて。だけど、あれを入れなかったことをちょっと後悔してるんですよね。今考えると、俺がお客さんだったら入っててほしかったなって思う時がある。だって「お金ないからどっちかしか買えない」ってなった時に、ライブで今もやってる曲だし入れといてあげたら良かったなって。今回はミニアルバムの段階からフルアルバムのことを視野に入れて作ったんですよ、アルバムに入ってもおかしくない曲をリードトラックとして用意しておこうと思って3作を作って。だからフルアルバムの制作に対しては、あと6曲作ろうって最初から考えてました。
―今回はクラウドファンディングが大きなトピックのひとつだったと思うのですが、やってみようと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
金田:口説かれたんだよね。muevo(音楽専門クラウドファンディングサイト)で働いてる奴が『下北沢にて』のスタッフもやってて、一回話を聞いてみたらTHEラブ人間には合うと思ったの。だって俺らは1から100までほとんど誰かの力を借りてやってきたバンドだから。そのほとんどは客さんの力なんだけど。だからみんな楽しんでくれるんじゃないかなっていう自信があった。クラウドファンディングはうちのお客さんしか相手にしないでしょ。投資しようって思う人が俺らのお客さんである限り、みんなこのノリをわかって楽しんでくれるだろうなって。外から叩かれる分には全然へこたれないからいいんですよ。だったらとことん悪ノリしようと思って、全員が得して楽しめるものを用意して。メンバーに会えるプランみたいな悪ノリは、誰も払わないだろうっていう値段設定にして、とりあえず笑ってもらえたらいいなって。
―本当にいろんなプランがありましたよね、そんなプランも考えてるんだって思って楽しませてもらいました(笑)。
金田:面白かったよね。さっきも、クラウドファンディングの限定Tシャツを着てる子が街に居て。このノリが楽しいの。THEラブ人間を好きな人は、俺ら6人のノリも知ってくれてると思うし、それを一緒に楽しんでくれる人達が大勢居てくれるっていうのが強みかなと思う。
―実際にやってみたら、資金集め以上の意味があったということでしょうか?
金田:資金集めではある、それはちゃんとそう思ってます。おかげで今日もここまで来れてるし。大事なのは、資金を集めたいと思ってるTHEラブ人間に協力したいと思ってる人が居るからやってるんだよっていうこと。きちんと資金集めとしてやったけど、やり終えた後に絶対お互いに何か残るっていうのが分かってたんで。
坂本:CDを買う行為って、CDを買う行為でしかないと思うんです、基本的には。それ以上のことをCDを買うっていう行為の中で出来たのは幸せでしたね。
―結果、大成功でしたもんね。
金田:クラウドファンディングをやって良かったと思う理由の中に、リターンが楽しいっていうのがあるんですよ。
坂本:めっちゃ楽しいよね。金田君、漫画頑張って描いてたよね。
金田:昨日、リターン用の漫画を描いたんですよ。今までフリーペーパーとか無料のモノには描いたことがあったけど、今回はお金払ってくれてるからマジで頑張った。
坂本:世界で数部でしょ?
金田:1部だよ、その子と俺しか知らない。
坂本:それって素敵なことだと思いませんか。その人達にもCDは届くし。すごく濃密なことができるっていうのは良いなと思いましたね。
金田:お客さんとの距離が凄く近くて良いなと思いました。本当は、クラウドファンディングの文章に、「共犯者」って書きたかったんですよ。要は、CDを出す行為って革命的というか世界を自分のモノにするための第一歩の行為であって、お客さんはTHEラブ人間が世界をめちゃめちゃにするのに手を貸した人達っていう感覚がすごく強くて。それはライブ中にも思うんだけど。みんなで悪いことしてるなーって思う。
―それがすごく楽しいんですけどね(笑)。リターンをやってる側も楽しいって凄く良いですね。
金田:もらったお金の何倍かで返したいっていう気持ちでリターンを作ったつもりなんで。できたかなぁ。
―届いてるんじゃないかと思いますよ。
坂本:届いてたらいいな。
―『メケメケ』の曲の事を少し教えてください。“GOOD BYE CITY”はバンドの事を歌ってるのかなと思うんでが、「もう会えなくても良い」っていう歌詞が気になりました。普通は「また会おう」って歌いそうなものなのに。
金田:そうですね、ツアーに出た時の気持ちを歌っています。これもさっき言ってた、続けることに意味はないけど燃やし続けることに意味があるっていうことがテーマになってる曲なんですよね。これは名古屋で書いたんですけど、その時にMCで言ったんです、「もう二度と会えなくても良いから、今日この日を全部燃やし尽くそう」って。だから「さようなら街の灯り」って歌ってて。これも凄く昔の曲です。
―燃やし尽くすっていうテーマが金田さんの根底にはあるわけですね。“ハレルヤ”はちょっと意外に感じました、THEラブ人間は打ち込みもやるんだ!って。
金田:これも超実験です。前のメンバーの時のTHEラブ人間が、かっこ悪い、やりたくない、ダサい、と思ってることを全部やったのが『メケメケ』だと思うんです。今までのTHEラブ人間がやりたくないって思ってることを全部やってから考えよう、っていうのが新メンバーになってからのTHEラブ人間で。“ハレルヤ”も最初は生演奏しようと思って作ってたんだけど、「これは打ち込みでいいのかもね」っていう声があって。
坂本:デモの雰囲気が凄く良かったんですよ。
金田:そのデモを軸にバンドで作ろうと思ったんだけどイメージできなくて、じゃあトラックを作った方が良いんじゃないかって。俺が、日本の打ち込みサウンドで一番影響を受けたまつきあゆむさんにオファーしたらOKをもらえて。ちなみに、一番歌詞の好きな曲です、これは書けたなって思った。
―そうなんですね、一番好きなフレーズはありますか?
金田:「イッツ・ゴスペル 祈らないで 最近じゃちょっとしたことで泣くよ 小さな子どもが転んで泣かなかった ほんとにえらいね 賛美せよ!プレイズ・ザ・ロード! ホーリー!ホーリー!ホサナホサナ! あのコのようにはできないよ きみと出逢ってからはうれしくてずっと涙が出る まぶしくて目がくらむ」が一番好きかな。
―それはなぜですか?
金田:歳をとるっていう事を上手く歌いたかったんです。昔だと一人ぼっちになるっていう感覚で歌ってたんだけど、誰かと歳をとっていくっていう風に歌いたくて。全く知らない子供が転んでる姿を誰かと一緒に見てるっていう光景で、「あの子泣かなかった、えらいね」って話してて。その2人の未来の子供までそこに居るような、だからそこに4人の姿が見えるような光景を書けたらなって思って。それが歳をとるっていうことかなと思う。ちょうどその頃はゴスペルミュージックをよく聴いてて感化されてたんです。ゴスペルはキリスト教を信じてるけど、俺は隣にいるその子を信じてて、2人だけの決壊を張ってるイメージで書きました。レコーディングもリハーサルもライブも、メンバーも誰もいなくて、ステージの上に俺と彼女だけっていうイメージというか。それで打ち込みっていうのは面白いよね。
坂本:今作の中で、一番パーソナルな曲だよね。
金田:そうだね、これと「こいのおわり」は書けたって思ったね。
―「こいのおわり」も凄く好きなんですけど。
金田:「こいのおわり」はね、女性にすごく人気なんですよ。
―登場人物の気持ちをすごく想像してしまうというか…これは、悲しい曲なのかそれとも希望の曲なのか、どっちで受け止めたらいいんだろうって思ってて。
金田:どっちだと思いますか?
―私は、希望だったらいいなって思いながら聴いてるんですけど…
金田:それです、正解。希望だったらいいな、っていう曲です。なんて言うか…ジャスティスだね。自分のジャスティスの話になるよね、恋愛って本当にそう思うの。「いつまでも落ち込んでないで、新しい人探せよ」って凄い正論を言われて「そうだよね、次行かなきゃね」って言ってても、心の中では「辛くても、俺はただ好きでいるだけで幸せなんだからほっとけよ」って思ってる、それがジャスティスなんですよ、恋愛における。だって他人に気を遣われる人生ってないでしょ。その子の結末までは書かないつもりだったし、どうなったかは知らないけど、その子にとっては相当ジャスティスだったんじゃないですか。俺が逆の立場だったらジャスティスですよ。
坂本:マスタリングが上がってきた最初の感想、「恋愛ってドMだな」でした(笑)。勝手に自分でMになってる感じですよね。
金田:あの曲もね、遥の弾いたギターがすごく好きで。結構口うるさく言ったけど、凄く良いのが弾けたよね。今まで遥に細かく指示したことはなかったんだけど、この曲ばっかりはニュアンスを…
坂本:俺、初めてブースから怒ったよね、「え?本当に?」って(笑)。
金田:あれはもうバンドのサウンドじゃないから。気持ちの問題、ニュアンスが大事だからね。
坂本:思い出した、あれ一回録り終わったんですよ。朝のうちに録り終えてて、その後金田君が来て。
金田:録ったやつ聴いたらしっくりこなくて、録っちゃったしどうしようかなって思ったけど、アコギ持ってきて「遥、こっちで弾いて」って。
坂本:プレイヤーとしては綺麗な音でちゃんと弾きたいっていう欲望がどっかであるんですけど、それがはまらなかったよね。最初のテイクも良かったんだけど…
金田:良かったけど、どっかで聴いたことがあった。
坂本:そう、確かに今思うと無難な感じがすごくあった。で、古いギブソンのチューニングを下げてダルダルにして弾いたらめちゃくちゃかっこいい音になって。
金田:あり得ないくらいダルダルのチューニングにして、俺が弾き語りの時にやってるやり方で弾いたら凄く良かったんだけど、それがすごく難しくて。だけど、30分くらいで終わったよね。
坂本:そうだね、体感時間は3時間半くらいだったけど(笑)。古い大木みたいな音がするんですよ。
金田:綺麗な音を一切出そうとしないで弾いてくれって言ったんですよ。
坂本:そんな風に言われたのは初めてだったから。
―今までにない演奏だったんですね。
金田:この曲はね、その子の心のズタズタ加減を演奏しなきゃいけない訳ですよ。
坂本:一番ドMな演奏になりました。
―今作の全体的な印象なんですけど、誰かが居て、主人公がその人に話している様子を自分が見いてるような感覚があるんです。今まではリスナーにぶつかってくる感じがあったと思うんですけど。
金田:俺は元々誰かに向けてしか書いてないんだけど、今までは「俺はこう思ってます!」ってバーンと投げてたから、聴いてる人に向かって言ってるみたいになってたんだと思う。今回は、今までのものよりも一歩引いたところで留められていると思ってて、気持ちはぶつけてるんだけど、「俺はこう思ってるんだけど、君はどう?」っていうのが最後についてるというか。会話としての気持ちのぶつけ合いが歌われてるから、歌の中に登場人物が2人いて、それをリスナーが少し俯瞰して見てるのかも。
坂本:僕は、それは金田君の気持ちもそうだけど、アレンジの影響もあるんじゃないかと思ってて。“FUSHIGI DANCE”も割と悲しい歌だけど、ああいうキラキラしたサウンドでやってるのが、この構図になるんじゃないかなって。
金田:そうかもしれないね。
―明るいサウンドに悲しい歌詞が乗ってる曲も多いですよね。
金田:得意です。そのやり方は“これはもう青春じゃないか”を作った時に発明したんですよ。あの曲超悲しいよね、「こんなの全然青春じゃない、こんな毎日どこもキラキラしてない」っていうことをキラキラしたサウンドに乗っけてて。
坂本:喜劇をするには悲劇を知らなきゃいけないって思いましたね。
―今回は、インストアライブをたくさんされていましたが、こんなにたくさんやろうと思ったのは何故ですか?
金田:アルバムを出してすぐにツアーを回ると、まだみんな聴き込めてないんですよ。だから1ヶ月くらい時間をおこうって考えて。でもその間何もしないものもったいないから、先にバンドの形態じゃない形態で各地を回れたらいいなと思って企画しました。前回のツアーでもココロオークションと一緒に何回かインストアライブをしたんだけど、彼らの作ってるアコースティックのサウンドシステムが面白かったんだよね。俺らはバンドの音をなんとかアコースティックに落とし込んでたんだけど、彼らはアコースティックとしてのベクトルで音を作ってて。で、ココロオークションと色々話したり相談したりして。せっかく試せるチャンスなんだからインストアをやろうと思ったのもありました。今回はCD屋さん以外の場所でのインストアライブがたくさん決まったんですけど、ロックを聴かない人達の前でロックをやったらどうなるのかなっていう興味も前からあったし。
坂本:昨日も凄く良かった、休日にショッピングモールへ遊びに来た家族連れや子供達がたくさん立ち止まってくれて。
金田:その人達がライブハウスに来ようが来まいが関係ないとも思ってて。最初は、どうせこの人達ライブハウスには来ないしなって思ったこともあったけど、そういう話でもないかもって思ったんですよね。俺達と音楽を共有したことがあるっていう、そっちのほうが重要な気がして。だから、その日燃やし尽くすっていう感覚に近いのかもしれないって思いました。
坂本:単純に、ワンマンツアーは主要都市しか回れないから、それ以外の場所の人達に会えるのは良いなと。
―そうなんですね。じゃぁ今後のアコースティックライブの場では、去年までとは違うTHEラブ人間のライブも観られるんですね。
金田:そうですね。今までは無理して「ロックバンドだ!」って思いながらやってたけど、俺がずっと椅子に座りながらでもできるような状況というか。
坂本:ライブハウスのTHEラブ人間が本物かっていわれたら、どっちが本物でもなくて歌ってることが本物というか。「ライブハウスに行けば本物が観られる」っていう話でもなくて、別物というか。金田君は元々フォーク野郎だから、どっちに向いてるかっていう話をするするなら、どっちにも向いてる人だと思うし。
―なるほど。それは私達もみなさんのライブを観る楽しみが増えます。今回は初のワンマンツアーが決まっていますが、今の気持ちはどうですか?
金田:うーん、正直ワンマンツアーは別にスペシャルじゃないですね。毎回その日の自分の事を歌うって思ってるから、どうなるのかはその日まで分かんないですね。だから誰かに呼んでもらったイベントの30分もワンマンの2時間も一緒、マジで一緒。燃やし尽くせるかだけに掛かってるんで。どうせその街に行けばその街の事が歌えるって分かってるし。だってその日の自分はそこに居るから。
―『メケメケ』をしっかりと届けられるといいですよね。
金田:そうですね、1年間ずっと季節ごとに(アルバムの存在が)引っ掛かっていけばいいなと思ってて。そのために、ワンマンツアーが終わったら別の形式でどんどん次のツアーを回ろうと思ってます。
坂本:新曲も作ってるけど、今までと全然違う感じでやったことないことやってます。すごく良い感じ。
―実験は継続中ってことですね。
金田:ほんとそう。どうなることやら(笑)。

2016.2.3 on sale!
¥2,000(+tax) / LOVE-1005
『メケメケ』
1. コント※表題曲
2. クリームソーダ
3.GOOD BYE CITY
4. じゅんあい
5. こいのおわり duet by 柴田ゆう(sympathy)
6. ハレルヤ tarck make by まつきあゆむ
7. 幸せのゴミ箱
8. 気分を出してもう一度
9.FUSHIGI DANCE
10. 花嫁の翼
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