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片平里菜

  • nishi-kaze
  • 2016年6月14日
  • 読了時間: 3分

弾き語りワンマンツアー2016

“ねえだってこんな世の中だしせめてふたりは上手くやっていこう”

2016.6.14 @広島クラブクアトロ

Peport:Miyaco/Photo:MiNORU OBARA

広島公演では会場に椅子が並べられ、とてもゆったりとした穏やかな雰囲気。暗転する会場、その薄い闇の中へ静かに登場した片平里菜はステージの中央へそっと立ち、華奢な佇まいに似つかわしい繊細なアルペジオを丁寧に奏で始めた。細く明るい光が緩やかに彼女を映し出し、歌声が響き始めると、その瞬間から体中の神経がスッと彼女へ吸い寄せられていく。

忌野清志郎の“風に吹かれて”のカバーは本当に素晴らしかった。この曲が持つ芯のあるメッセージ性と、それにまったく引けを取らない彼女の歌声が重なるとき、力強さと柔らかさが相まった新鮮な響きが生まれ、鳥肌が立つほどの感動を覚えた。

広島公演ではゲストアーティストにドラマー玉田豊夢を迎え、ドラムと弾き語りという珍しい構成でのセッションをたっぷりと披露してくれた。力強く暖かみのある玉田のドラミングに背中を押された片平里菜の歌声からは楽しい気持ちが伝わってきて、角度の違ったパワフルさを見せてくれる。「ドラムの音が聞こえてくると踊りたくなるよね」とオーディエンスに椅子から立つよう促した“BAD GIRL”。軽快なリズムとコールアンドレスポンスに、フロアは体を揺らしたり声を出したりと大いに盛り上がった。

まだ歌詞が決まっていないという“ねえだってこんな世の中だしせめてふたりは上手くやっていこう”では、客からキーワードを募り、即興で歌詞を作るという時間が設けられた。フロアから好き好きに寄せられた言葉をヒントに歌詞を考えながら鼻歌を歌う片平。その横顔は「ソングライター片平里菜」であり、私たちが普段は見ることのできない姿であったし、彼女にもう一度惹かれた瞬間でもあった。難しそうなチャレンジにも思われたが、「広島カープ」などのワードも盛り込みながら、見事にこの日限りの貴重な演奏を成功させ楽しませてくれた。

グッと温まった会場の熱は下げないまま、ライブはゆっくりと終演に近づいていく。“最高の仕打ち”はステージぎりぎりまで前に出て、マイクを通さず地声だけで歌われた。あの広い会場を彼女の声だけが支配するとき、ほどよい緊張感と強い求心力が生まれ、歌が痛いほどストレートに胸の中へ入り込んでくる感覚があった。

アンコールでは再度玉田豊夢を呼び込み、「この曲をやるのは広島だけだよ」と“スターター”を、続けて“女の子は泣かない”を演奏。ここでも上品で贅沢なサウンドを惜しみなく聴かせてくれた。そしてラストは“結露”。頭上の電球がひとつだけ灯り、そこに淡いブルーのライトが薄くまとわりつく。その光景は、彼女がまるで一粒の水滴の中で歌っているかのような幻想的な美しさを生み、終演後の会場にはその余韻がたっぷりと残っていた。

【Set List】

 1.ながれぼしのうた

 2.カフェイン

 3.舟漕ぐ人

 4.大人になれなくて

 5.風に吹かれて(Cover)

 6.夕日のうた

 7.煙たい w/玉田豊夢

 8.BAD GIRL w/玉田豊夢

 9.ねえだってこんな世の中だしせめてふたりは上手くやっていこう w/玉田豊夢

 10.そんなふうに愛することができる?

 11.Party

 12.Hey Boy!

 13.Love takes time

 14.最高の仕打ち(生声)

 Encore

  15.スターター w/玉田豊夢

  16.女の子は泣かない w/玉田豊夢

  17.結露

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