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彼女 in the display


今年6月に新譜『THE ROOTS』をリリースした彼女 in the display。この作品の中には、2015年の休止期間と、その間に感じたり再認識したことが詰まっているようです。

休止中の心境や得られたこと、そして今の心境を、Vo.RYOUKEがじっくりと考えながら語ってくれました。

Interview:Miyaco/Photo:MiNORU OBARA

−昨年は活動休止の期間がありましたよね。そのときはどういう気持ちで過ごしていましたか?

僕は17歳からバンドをやっているんですけど、初めて活動を止めたんです。物心着いたときにはそこにバンドがあったので初めて人間らしい時間を持ったというか、今までの時間とすごくギャップがあって。まず、音楽がなかったら僕ってどういう人間なんだろうっていうのが、不安であり期待であり。いろんなことに興味が行くようにはなったんですけど、浮き足立ったりもして。4ヶ月間それで過ごして、戻ってきて改めて居場所というか、そういうものを取り戻した感覚です。

−初めて、音楽のない生活をされていたんですね。音楽から離れたことで音楽に対する気持ちって変化がありましたか?

やりたいことが明確に出てきたというか。こういう音楽をやりたい、こういう曲作りたいっていう気持ちが溢れすぎちゃって、何をしていたというよりは夢ばかり見ていた気がします。声も新しくなって表現したい幅も増えたというか。そういうことが自分の中では刺激ではあったんですけど、今思えば、そっちにばかり考えが行っちゃっていて、目の前が見れていなかったなということも結構多かったかもしれないですね。

−喉が悪くなって休まれたということでしたよね。すごく辛い時間だったのかなって勝手に想像していたんですけど、というよりは色々見ることができたりしてそれなりに充実はしていたんですかね。

手術までがどちらかというとしんどくて、終わってからは開放感というかつっかえていたものが取れたので、そこで感情も開放的になりすぎちゃって(笑)。

−抑えられていたものが溢れて浮き足立ったりもして(笑)。その間、他のメンバーはどう過ごされていたんですか?

メンバーもそれぞれ自分の時間を持っていたと思います。みんなで集まって曲を作ったりもしたんですけど、それぞれで過ごしてました。それが今となっては良かったと思うんですけど。その時はバンドとしてというよりは、個として過ごしていたかな。

−また歌える状況になった時の気持ちはどうでしたか?

めっちゃ不安でした。(喉が)全く新しいものに変わったので、どうなるかはわからないじゃないですか。なので「また1からか・・・」っていう感じで。歌ったときの感覚が前と違うって感じることも多くて、本当手探りでしたね。

−それまでもずっと音楽やってきていたけど、また1からスタートみたいな感じもありましたか?

そう。だから、いろんなことに刺激を受けて色々やろうとしたんですけど、ただの真似事になってしまって自分らしくなかったなって、みんなで集まった時に気付いたというか。

−そこからまた試行錯誤というか、新たに歩き始めた感じなんですね。

そこに聴いてくださる人がいて初めて僕らが成り立つじゃないですか。だけど、休んじゃってる間にそこすら忘れて、ただ自分が純粋に好きな音楽、こういう音楽をやってみたらどうだろうっていうところばかりに頭が進んじゃって。で、帰ってきてから「あぁ、ここがあったけん僕らはこのバンドだったんだよな」って思いました。

—みんなで集まって、改めて原点を思い出すような。

そうですね。

―休止中に収穫だったなって思えることはありますか?

音楽のフィールドから外れて、一個人として仲良くなった人が増えたんですよ、その時間に。今まではバンドのRYOSUKEとして関わる人が多かったんですけど、それが一気になくなって、ただの23歳の僕っていう形で仲良くなった人も多くて。広くなった視野もあったと思うけど、逆になくしちゃいけなかった部分まで忘れそうになってました。そういうものに気付けたのは本当に大きかったですね。

−活動が再開してからはライブ活動が主だったんですか?

制作しつつ少しずつライブが入っていたんですけど、ライブのペースは落として月1〜2本とかだったんです。だけど、その1〜2本が大きめのイベントで。バンドの活動は止まっていたけどバンドの名前は進んで入っているような状態で、最初はそこへ追いつくのになかなか時間がかかりました。そこのちょっとしたブランクでも、こうも差が出るのかって感じたり。

−休んでいた時のブランクを自分では感じて、でも周りは盛り上がっちゃってるしっていう状態、そこを追いかける作業もしながら。

そうです。バンドっていう形にするのにちょっと時間がかかっちゃったかなっていう感じですね、活動再開直後は。

−活動再開してからリリースまで8カ月くらい開いているじゃないですか。その時間は作業する時間があったという事ですかね?

今リリースしたのが4曲なんですけど、それ以外にも曲を作っていまして。当初はもうちょっと(多く)リリースしようっていう感じでやっていたんですけど、制作が長くなっちゃって、最後の最後までどの曲を出すのか悩んでて。で、今回は4曲になったんですけど。なので制作は割としてました。

−じゃあ、今回出ている4曲は活動再開後にできた曲ですか?

そうなりますね。一応その前からあった原案をアレンジした曲もあるんですけど、ほぼ変わっちゃったんで、活動再開後に作ったって言っても過言ではないかな。

−リード曲をEPタイトルにするんじゃなくて、盤自体に『THE ROOTS』というタイトルをつけていますよね。これはどう意味を込めて名前をつけたんですか?

出来上がった時にこれが僕らの原点のような感じがして。前のアルバムをリリースした時はたぶん、ちょっと大人に憧れていたんです。大人になろうとしていたけど、僕ららしさってこういうのだったよねっていうのを僕ら自身確かめることができて、なおかつ、これをどういうタイトルにしようかって話になったときに『THE ROOTS』で行こう、って。僕らはこういうバンドですっていうわかりやすい説明書みたいな気がします。

−活動再開できた喜びみたいなのがすごく爆発しているなという印象を受けたんですけど、実際はどうですか?

今、日に日にそれを感じている状態です。僕自身は実感があって初めて何かを得られるタイプなので、(活動再開時に)ワクワクしていたというよりは、例えばお客さんに「ありがとう」って言ってもらえたり、CDが店頭に並んでいるとか、そういう目の前にあるひとつひとつの実感が、より自分を滾らせてくれていますね。

−熱い歌詞が多いので、歌っていてエモーショナルな気持ちになったりとかしないかなと思って。

それはたぶん、昔からありますね(笑)。歌だけには限らなくて、物事をはっきり言うタイプではないんですけど感情は表に出したいみたいな、めんどくさいやつなんで(笑)。あの時期悩んでいたこととか、こうなりたいっていう理想が各々あって。みんなで相談しつつ作ったので、メンバーの気持ちを自分なりに感じて書いたのかなって思います。

−前の作品は大人になろうとしていたってさっき言われていたんですけど、ここまで話していて、一度立ち止まったことで原点を思い出して、今の自分たちのリアルを出せるようになったというような印象を受けたんですけど。

かなりその通りですね。一周はしているんですけど、螺旋階段みたいにちゃんと上に昇れている感じがします。

−ライブでこの4曲を、お客さんの前で演奏している時の感覚はどうですか?

元々ラウド界隈で活動していて、イントロが始まったらフロアが激しく盛り上がって、っていうことも多かったんですけど。今は(音楽を)聴いてくれているお客さんがすごく多くなっている気がして。昔も、激しい中に歌もあるっていう感じだったんですけど、今がより歌を伝えたいライブをしていて、それを聴いてくれているなっていうのが目に見えてわかります。

−歌詞にもメッセージ性を感じるので、歌を聴きたくなる感じもわかる気がします。

毎回、メッセージを伝えたくて歌詞を書くっていうわけではないんですよ。自分を鼓舞するような言葉を書いて、聴いた人の中に共感してくれる人が居ればいいなっていう気持ちが後付けである感じですね。

−今の目標、今後こういうふうにしていきたいなって考えることってありますか?

明日明後日と成長していくと思うんですよ、バンドとしてもそうだし人としても。その中で改めて共通して感じることは、生かされて生きているし、一人だけど一人じゃないし、どこかが繋がっているというような安心できる場所を提供していけたらなと思うんですよ。安心してなお且つ楽しめて、「なんか疲れた。」「じゃあ遊びに来いよ」みたいな存在になれたらなと思います。ライブに来てくれた人が「次の日仕事頑張れました」とか「来週試験があるんですけど試験前に来れてよかったです」とか言ってくれて。本当にそういうのでOKで、なんか日常に溶け込みたいですね。非日常を求める人も多いと思うんですけど、あくまで僕個人としては日常を支える何かであれたらなと思います。

−ライブのあとに、明日から頑張ろうって思えることってありますよね。ご自身でもそういう経験がありますか?

僕も、知り合いのお店に行ってめっちゃ美味しいご飯食べて、明日も頑張ろうって思える時が一番幸せを感じるんですよ。これは僕個人としての想いですけど、それを、音楽で形にできたらいいなと思います。

 

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『THE ROOTS』 1.LET IT DIE -Hail 2 U- 2.letters to you 3.OverdriveJourney 4.COLOR

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