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ペロペロしてやりたいわズ。 ムカイダー・メイ


ペロペロしてやりたいわズ。1st Full Album『ローカリズムの夜明け』リリースインタビュー、ムカイダー・メイ編!

メロディーメイカーであり、歌詞を手掛けている彼女が感じていること、苦しんだこと、変化したことをたくさん話してくれました。約1年前に行ったインタビューを併せて読んでいただくのも面白いと思います。

話を聞けば聞くほど、ペロペロしてやりたいわズ。の成長とその理由がみえてきました!

Interview:Miyaco/Photo:MiNORU OBARA

―前作のリリースから丁度1年くらい時間が空いたんですけど、振り返ってみるとどんな時間でしたか?

今回、リリースするぞ!って決めてから、割とバタバタしてて。前作リリース後は結構ライブをしていたので、一回一回のライブのことを考える時間がすごく長くて、気づけば曲を作らないと間に合わないぞっていう時期に来てて。だから曲を作り始める前と後で、自分の中では全く意識が違うかもしれないです。今作を作ろうってなった時に、歌い方とか歌に対する想いが本当に180°くらい変わって。ライブに集中していた時期は、ライブをどう持っていくかがメインの課題だし、ライブに対する想いが強かったんですけど、レコーディングとなると今までライブで歌っていなかった曲をどうやって完成形に持っていくかを考えつつ、並行してライブもしつつ・・・という感じになっていて、後半は結構悩んでました。

―なにかキッカケがあったとかではなく、そういう状況になっていって悩み始めた感じですかね。

そうですね。メンバー間で意見交換をしっかりするようになってから、歌が自分だけのものじゃなくなった感じがすごいあって。そこからすごい変わりましたね。

―コミュニケーションがどんどん密になっていくなかで、歌に対する意識が変わっていったという感じですかね。

それもありますね。あとは最近、空きっ腹に酒のツアーに全公演オープニングアクトで出たっていう経験もかなり影響してます。他のバンドがどういう風にライブを作り上げていくのかっていうのを見た事がなかったし、ライブだけじゃなく、その前後の彼らの雰囲気も含めて、それを一回じゃなくて毎回見られたんです。結構ストイックな人達なのでそれを間近で見られたのは、本当に勉強になったなって思うのがひとつと、すごくいろんなジャンルの人たちと対バンされていたので、それを見れたのもすごく大きかったですね。そのツアーが終わるのとレコーディングが始まるタイミングがほぼ同時というか、被り気味だったんですよ。だからかなり影響を受けているかもしれない(笑)。

―なるほど。ちょっと前のことを振り返って、聞いておきたかったことがあるんですけど。前回インタビューの時に「県外でライブした後の凱旋ライブは大体調子が悪い、それを克服したい」って言われていました。前作のリリースツアーファイナルの広島公演はどうでした?

あの時のツアーファイナルは、すごく良かった(笑)。初めて、自分たちが本当に呼びたいバンドを呼んだライブでもあって、そのみんなのバトンを受けとった結果みたいな感じだったかもしれないです。自分たちのリリースがどうって言うよりかは、そのバトンを確かに受けとった結果がそうだったんだっていう。

―そうだったんですね。もうひとつ、そのツアー中にハナちゃんの加入がありました。彼女が入ってバンドの中の空気とかはどういう変化がありましたか?

人間的にはサポートだった時もそうじゃなくなってもそんなに変わらないんですよ。ただ音楽に対する積極性がグッと近寄ったっていうのは絶対あると思います。バンドの雰囲気に関しては、サポートの時点から大分助けられていて。とにかく人間がいい人なんで、やりやすい空気をめちゃくちゃ作ってもらっていました。前のバンドの経験も活かしてくれていた面も絶対にあったし。音楽的には、蘭ちゃん(あららぎ/Gt.)がやりたいと思っているものを、彼女が聞き出していくっていう構図だったかも。今まではそういう作り方をしてこなかったから、それをハナちゃんが積極的に探り当ててくれた感じはめちゃめちゃありました。

―そうなんですね。今作聴いていて、メイちゃんの書く曲が少し変わったかなって感じたんですけど、メイちゃんの中ではそういう感覚はありますか?

めっちゃある(笑)。作り方が変わったというよりは定着したっていうイメージです。前の音源が、ちょうど作り方が変わり始めた段階だったんですよ。蘭ちゃんが元ネタを作る、それに私がメロディーを付けるっていうやり方、それがやっとこのアルバムで定着したかな。それに対して歌の書き方になったなっていうイメージがありますね。

―個人的な感想をいうと、キャッチーなメロディーが増えたなって思いました。

あー、嬉しい。めちゃくちゃ嬉しいです。

―前回のインタビューの時に、自分が発したら面白いんじゃないかっていう言葉を探っていると話されましたが、その部分は今も変わってないですか?

そこだけは今も変わらないですね。

―ちょっと一筋縄ではいかない女の子が出てくる感じが今回もあるし、それが私は好きなんですけど。これはやっぱり意識している部分ではありますか?

めちゃくちゃ意識してるし、なんか書いててもしっくりくる気がします。

―ただ、今回はそうじゃない歌詞もあると思うんですよ。8曲目“海で会えたら”とかは誰が聴いても自分を重ねられる曲というか。

うん、そうですね。実は“海で会えたら”はめっちゃくちゃ前に作った曲で。だから逆に真っさらだったのかも。メロディーにしても歌詞にしても、作った時にはしっくりこなくて止めていた曲で。一番自分に芯がないというか、そんなにバンドの色もないし、自分の言葉を探ることを考えていなかった時期に作っていた曲なんです。その時の自分にはこの曲が普通すぎるというか個性がなくて、ライブでなかなか演奏出来なくて。やっと、今ならこのCD中に入ってもおかしくないかもって思えて、メンバーに話したら「確かに、今ならいけるかもね」っていうことになって。初期メンバーで作っていた曲をアレンジし直した曲なんです。

―そうだったんですね、てっきりアルバムのために最近作られた曲なのかと思ってました。

実は違うんですよ、やっと落とし込めましたね。

―何でそんなふうに変われたんですかね?

何でなんですかね(笑)。自分の中で自分が出来上がって、逆に歌えたのかも。今回の曲は、誰が聴いてあてはまるものっていうのを歌っても、今なら自分でいられるって思えたのかも。

―それはすごく納得するというか、メイちゃんが歌ってる感じはあるけど、ペロペロしてやりたいわズ。としては新鮮なメロディーにも感じられて。

そうですね、いいメロディーって言えるからできたんだと思いますね。

―それから、このアルバムの中で1番聞きたかったのが“朝がくるから”について。前回のインタビューで「なかなかしあわせハッピーな曲が書けない」って言っていたと思うんだけど、“朝がくるから”を聴いたとき、「ついにメイちゃんが幸せな曲を書いた!」と思って(笑)。この曲はどんな感じでできたんですか?

そうそう!そうでしたよね(笑)。まさにそうです。このトラックを聴いた時に、「大丈夫だよ」って言ってあげる曲だなって直感的に思ったんですよね。だから、この曲を通して大丈夫って言ってるけど、理由も根拠もなにもないんですよ。自分自身が、誰かに「大丈夫」って言って欲しい心境だったんだと思うんですけどね・・・それをあえて曲にすることで、自分も助かってたっていうか。最近は、自分のために曲を書いてるなって思うんですけど、特にこの曲は自分を助けるために出した言葉だったかも。

―“Came sun!”は音楽のことを歌っているように思えるんですけど、具体的にどんな気持ちで書いたのかを教えてください。

ライブハウスに行くことによって助けられてる人達ってめっちゃいるなってすごく思ってて。なんかでも虚しさ反面というか・・・そこに行くことによって助けられてる自分は、ちょっと虚しさを持ち合わせているよなって気付いてて。自分もそうだし、きっとみんなもそうだよなって思ったことがあったんです。そこに踏み込んで、確かな音楽を音がここにありますって言いたかった。その虚しさっていうのは、その時間しかないから生まれるものだし、ずっとは続かない時間だからちょっと悲しいんだと思うんですよ。でも、だから魅力でもあるし。そういうどうしようもなさ、切なさみたいなものをあえて強気に攻めることで表したかったのかな。色んな音楽があるけど、これがかっこいいぜって思って私はやっていて。この音楽がきっと新しい道を作るっていうのを伝えたいんだけど、それを単に言うんじゃなくて、あえてちょっとバカにしたような言葉を先に述べて、サビでガツンと持っていく、みたいなのはやりたいと思ってました。私が世界を変えてやるって言いたいんです、たぶん。「生きている音がする」っていう歌詞があるんですけど、今生きている音っていうのを一番伝えたい気持ちになってる時に作ったような気がしますね。自分達で切り開いてやっていくぜっていう、ちょっとした決心的なものもあって。正直に作ったと思います。

―“暮れる”っていう曲と“踊り子-part2-”はデモに入っている初期の楽曲ですよね。この2曲を今回も収録した理由は?

改めて録り直したいっていう気持ちが、自分たちの中には結構強くありました。デモ音源の時は、ままならない感じでとりあえず録ってみましたっていう感じだったんで。そうじゃなくて、今のクオリティでこの曲を残したいっていうのはメンバーの中にもあったし、周りからもまたやってほしいとか、好きですって言ってもらえることもあったんで、その辺りがちゃんと合致したというか。だから、収録することに対しては全然悩まなかったですね。

―デモと比べたら全然違うものになっているし、ライブでここまで育った曲なんだなと改めて思いました。

作ってから年数も経ってるし、メンバーも変わってるし、“踊り子-part 2-”に関しては、デモ音源のアンサー的になればいいなって思ってて。どっちも聴いて面白いってなってくれればいいなと思いました。

―ちなみにデモはまだ手に入るんですか?

今なら、ギリギリ手に入ります。

―アルバムの中で、このフレーズは結構ハマったなっていうのがあれば教えてください。

うーん、悩む。新しく作った曲に関して言うと、“クリーニングデイ”は歌詞が思いつかなくて、「どんな曲にしたいですか」ってあらかじめ蘭ちゃんに聞いた曲で。すごく最後まで悩んだ曲だったんですけど、女の子がお掃除したりお料理したりしている感じにして下さいって言われて(笑)忠実に従いました。私の世界観で書いた中でも一番蘭ちゃんの要望とマッチしたかも。メロディーは全部いいです。ここ聴いて欲しいなっていうフレーズはめちゃくちゃあってキリがないんだけど、“暮れる”のサビ裏のギターラインは耳を澄まして聴いて欲しい。こんなことしてたのか!みたいな感じがあるのでオススメです(笑)。

―そこに注目してもう一度聴いてみますね。収録曲はすんなり決まったんですか?

全然(笑)。作りかけたけどうまくいかなかった曲が結構何曲もあって、だから焦ってたかも。だからなんとかたどり着いた、選ばれし10曲です。

―メンバーがさっき言ってたのが、意見交換を今までにないくらいやってきたと。

そうなんです。それこそメロディーラインに関しては、今までは全部私の独断だったんです。それが、これが本当に音楽的にあっているのか、ちゃんと歌えているのか、という確認作業を密にやりましたね。

―さっき歌が自分だけのものじゃなくなったって言ってたけど、そういうふうに人の意見が入ってきたり、メロディーもバンドとしての音になった、という意識があるっていうことですかね?

それはすごくあります。だから、歌詞に関しても、今まで以上に蘭ちゃんの音ありきになったと思ってます。

―意見交換をすることは、抵抗があったり怖かったりしなかったですか?

怖さはめっちゃくちゃありましたね(笑)。本当に落ち込んだし悩んだし、自分の中ではこれ以上ないくらい低迷した時期でもあって、本当に何も分からなくなっちゃって。作る段階で歌も言葉もメロディーラインも正解が分からなくなったし、なんとか出来上がった後、今度はそれが歌えない私、みたいな状態でした。本当に落ちきるところまで落ちちゃって歌えなかったんですよ。でも、蘭ちゃんだったからよかったです。蘭ちゃんじゃなかったら多分信じてなかったし、めっちゃ反発してた(笑)。前提には、曲の元を作ってきたのが蘭ちゃんっていうのがあるから、そこは彼女の意思に沿おうっていうモードに入って、何を言われても本当に嫌なことを言われない限り従おうって思っていて。そのモードに入るのは早かったです。そこから、従ったのはいいけど自分のスキルでは出来ない、追いつけないっていう感覚になってて。時間も切羽詰っていたから、これ間に合のか?っていう焦りも出てきて。出来上がってるのに出来ないみたいな、どうしようもなくなった時期があったんです。だけど、逆に時間がなかったからこそ開き直れたっていうか、やれることやってやろ!って思って。新曲はまだライブで歌い込んでないから自分の中で掴みきれてないところもあったんですけど、開き直れたから自分が出たというか。前の音源を録った時のエンジニアさんに新作を聴かせたら、「なんかもう憧れ殴り捨てたねぇ」って言われて(笑)。まさしく!って思って。憧れを追いかける余裕もなかったんです、自分のありったけを出すしかもう術がなかった。

―そうだったんですね、じゃあこの音源には絞り出されたメイちゃんが詰まってる?(笑)

本当に絞り出されてますね、心して聴いて欲しい(笑)

―話を聞いてたら、いいものを作りたいっていう4人の意思があったんだなって伝わってきます。だから壁にぶつかってもそれでも前進しようとしたんだなって。だからバンドのレベルがステップアップしたのかなって思いました。

うん、確かに、誰もその壁から逃げようとしなかったから、それが一番の理由かも。今回は、各々が各々の壁にぶつかったと思うんですよ。バンドでというよりは一人ずつ悩んだみたいな感じ。それを、みんな目に見えてちゃんと打破しようとしてたのをお互い見てたんで、自分もやらねばみたいな気持ちにはなったかもしれないですね。誰か一人でも怠けているのを見ちゃったら、このやろう!ってなってたけど(笑)、みんな本当にバカみたいに「この壁を…!」って感じになってたから。

―音源を聴いたときに今までと違う印象ももらえるし、バンドがステップアップしてるのはなんとなく感じ取れるんだけど、バンドの中でそういう闘いがあったからこそなんだなっていうのがよくわかりました。

苦しかったけど、今思えば良かった。出来ればあんな道は通りたくないけど(笑)、でもまぁ今になれば笑えますしね。終わって曲を聴いた時に、「あ、あの時間は必要だったな」って思えるから良かったです。

―今はそのリリースを待っている状態ですが、今の気持ちはどうですか?

早くみんなに聴いてもらいたいですね。今まではあまり自分の音源を聴かなかったんですけど、今回は自分でも割と聴くんです。最初の「できたぜー!」っていう気持ちを通り越してしまったから(笑)、早くみんなの感想が聞きたいですね。

―バンドとしての今の想いを教えてください。

やっと地盤が固まり始めたかな?やっと自分たちの向きたい方向を見つけられてるかな?っていう感じになってきて、バンドが同じ方向を見れてますね。だからライブを見てほしいし、CDを聴いて欲しい。今からすごい速度で変わる気がしてて、これがプロローグという感じもしてるので、見続けてほしいですね。私たちも、今止まらないでいることがすごく大事だと思っているんです。だから何でもいいので見逃さないで欲しいって思いますね。無責任でも良いので見ろ!とにかく見ろ!って感じ(笑)。

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