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ペロペロしてやりたいわズ。あららぎ、ハナ、なおきさん


ペロペロしてやりたいわズ。1st Full Album『ローカリズムの夜明け』リリースが決定!ということで、西風によせる歌ではメンバー全員インタビューを行いました。

まずは第一弾、楽器隊3人のインタビューをお届けします。

制作過程での葛藤、バンドの成長と変化、今作の聴きどころなど3人それぞれの視点から詳しく話してくれました!

Interview:Miyaco/Photo:MiNORU OBARA

―今はレコーディングが終わってリリースを待っている状態だと思うんですけど、今の気持ちから教えてもらっていいですか。

あららぎ:早く出したくてうずうずしてます。新曲はライブで小出しにしている状態だからアルバム1枚の流れで聴いてもらいたい。

ハナ:うん、1枚の作品として聴いてもらいたいですね。

―出来上がったものを聴いてみてどうしたか?

なおきさん:単純に、音源としていいと思います。レコーディングやアレンジの作り込み方も今までと違うんです、そういう意味で早く聴いて欲しい。ちゃんと作り込めたっていう自覚はかなりあります。

あららぎ:前のミニアルバムは6曲入りで、そのうち5曲はもともとあった曲で・・・アルバムを出すために曲を作ったわけじゃなく、もともとあった曲をライブで煮詰めた感じだったんです。だけど今回はライブでやっていない状態でレコーディングした曲が半分くらいあって、新しい心境ではあるかな。

―前作を出すときと今とは、気持ちは結構違いますか?

あららぎ:全然違う気がします。あーでもない、こーでもないってぶつかる時間が多かったし。

ハナ:うん、ぶつかるっていうか、より良いものにするために細かいところまで何度も確認する作業がすごく多かった。レコーディング直前はリズム隊で詰める時間だったり、ギターとの絡みのポイントを重点的に考えることがすごく多くて、そういう意味で「もっとこうしようよ」とか「こういうニュアンスを出したい」って確認する時間が多かった。

―意見交換が今までより多かったということ?

あららぎ:そうですね、かなり多かった。

なおきさん:前作の曲はライブである程度やってきてたから、みんなの中に「この曲はこんなもんでしょ」っていう感覚があって、それを音源として聴くっていうことをあまりしてなかったから。今回は初めて、プリプロっていうレコーディングの前段階の作業もちゃんとやったんです。一回プリプロして聴いて「これ違うんじゃない?」とか「(音源にすると)意外とイメージ違うね」っていうやり取りがありました。新曲が半分くらいとライブでやってきてる曲が半分くらいあるけど、今までやってきた曲も一度ちゃんと音源化してチェックするっていう作業があった、それが自分的にはいちばん大きく違うというか。

―音を作る作業をより密にできたから、自信をもって送り出したい気持ちになってるっていう感じ?

なおきさん:たぶんそこかな。そこをちゃんとやって、手間暇かけているから早く見てもらいたいっていう感覚に近い。

あららぎ:うん、それもあるし、結構難産だったのも多かったかな。

―曲作りが難航してた?

あららぎ:そう。アルバムを出そうって決まったのが去年の11月で、曲作りを進めていて、今年の2月までは候補の曲がいくつかあったんですけど、それをボツにして1から作り直して。そこから作り方も変えたんです。今まではフレーズだけ持ってきてそれをみんなで広げようとして、そこに時間がかかってて。今回は、結構作り込んでからみんなに聴かせるっていうやり方にシフトしたんです。そうしたらイメージが沸いてきて、そこからスムーズに進んだ感じはあるかも。

―傍から見ていても、前作のリリースからここまでの1年間でいろいろな変化があったと思うんです。例えば、前回のリリースツアーがあったり、ハナちゃんの正式加入があったり。そのなかで、この出来事は大きかったな、考えが変わったなって感じることって何かありますか?

あららぎ:うーん、本当にいろいろあったとは思うけど・・・

なおきさん:目の前のやるべきことを必死にこなしてきた感じはあるかな。その中で、ライブをもっと良くしようって考えて、かなり話し合うようになった。

あららぎ:みんな向き合う時間が増えて、個々も考えが変わったり、改めて共有できたりしたのかも。

―傍から見てるといろんなエポックがあるように見えるけど、それ以上に内部でそうやって意識が変わったり話し合ったりすることが大きく影響してるんですかね。

なおきさん:話し合いは増えたよね、間違いなく。

ハナ:私は最初サポートだったんで、正式にメンバーになってからの気持ちやメンバーとの向き合い方は、個人的には結構大きく変わりました。バンドに対するスタンスも変わるし、今回のリリースに向けてのやり取りも形になってきたり。前回のリリースツアー中に正式加入したんで、ツアーの中で立場も変わったし、みんなとの接し方も自分の中では変わってきたなって。ぐっと、より近い距離感でライブを作っていくっていうのは、それまでとは違った気持ちだったかなって思います。

なおきさん:こっちも、サポートか正式かっていうのは気持ちの構え方も違うよね。

あららぎ:うん、全然違うね。サポートだとこっちがお願いする形だから、その隔たりは消えたよね。だから入ってくれるって聞いたときは嬉しかったです。

なおきさん:でも、入るでしょって思ってたけどね(笑)。

全員:(笑)

ハナ:加入を決める直前までそういう話はしてなくて、バンドサイドも何も言ってこなかったし、私も言わなかったし。話し合いを重ねてっていうよりは、満を持していざ!っていう感じで「どうするんですか」って聞かれて(笑)。サポートを始めたころは、まだ前のバンドをしてたんです。そのバンドが終わって、自分も心境の変化があって。プライベートと音楽が切っても切り離せない中で、どうしようかなっていろいろ考えたりもしたけど、そのタイミングでこのバンドがあって。入るって思ってるんだろうなとは思ってたんだけど。

―両想いだったみたいですよ(笑)。

ハナ:言葉にしないだけでね(笑)。前のバンドのリーダーも(サポートを)やってみたらいいんじゃないって言ってくれてたし、ペロペロしてやりたいわズ。のことも前から知ってたので、入ったら楽しくなるだろうなとは思ってました。入ってみたらそう感じる部分もあるし、友達感覚で付き合ってたのとは違う距離感になるので、みんなのバンドに対する想いとか人間性を知って、より真剣に向き合うようになったっていうのはありますね。

―なるほど、そうだったんですね。アルバムのことを教えてください。会場限定のデモ音源に入ってる“踊り子”、“暮れる”の2曲が今回のアルバムにも収録されていて。デモを改めて聴いたんですけど、全然違う曲になってますね。

なおきさん:俺がサポートで入ったとき既にこの2曲はあったんだけど、みんな女の子だから、音楽も超感覚でやってて。「Aメロのドラムってこういうノリがいいの?それともこういうノリがいいの?」って聞いても、「え、わかんないです」って言われて(笑)。

全員:(笑)

なおきさん:いやいやいや!って(笑)。「じゃあ俺が思うようにやっていいの?」って言って。だからドラムはノリが全然変わってると思います、俺がいいなと思うやり方で叩いてるから。だから“踊り子”は今回part2って言ってるけど、俺からすると全然違うタイトルの曲っていう感じです。

あららぎ:確かに、ドラムの視点からいったらそうかも。メロディーと歌詞も明らかに違ってて。前は本当にもう感覚のままにやってたから、今回プリプロで音を上げて一個一個確認したときに「あれ?」っていう感じがありましたね。

なおきさん:感覚でやってた時の曲だから歌とかも本当に出てくるまま歌ってたと思うんだけど、今回は蘭ちゃん(あららぎ/Gt)とメイちゃんの間で、それが音楽的にあってるかどうかをチェックする作業がすごくしっかりされていて。

―それ、すごく覚えてる話があって。1年前のメイちゃんのインタビューでもその話が出てたんです、なおきさんが入ったときに「もっと論理的にやれ」って叱られたって言ってて(笑)。

なおきさん:論理的にというか、蘭ちゃんとか特にそうなんですけど、伝えるときに「ドゥーン!みたいな」って言ってて(笑)。

あららぎ:擬音でね(笑)。

なおきさん:たぶん男性と女性の違いもあるんですけど、俺は理系だし、人に説明できるようにっていうのをやってきた部分があって、音楽もなんでそうなるのかっていうのを気にする面があるんですよね。初期メンバーがずっとやってきた中で作り上げてきた独特の何かがあって、それはそれでいいんだけど、結構危なっかしかったのもあって。ライブでお金を払って来てもらってる以上、上手いだけじゃなくてちゃんと味もあるライブをやるべきかなって思って、そういう話もしましたね。蘭ちゃんもそれはわかってくれて、最近は意見も言うようになってくれました。

あららぎ:そう、今まではあんまり言わなかったんですよ。

―それが言えるようになったのは何故ですか?

あららぎ:マネージャーに「自分の作る楽曲に責任を持て」って言われたことがあって、確かにそうだなって思って。それまではメンバーに任せてて、それでいいやって思ってたんですけど、そうじゃなくて伝えたいニュアンスやポイントを大事にして、その表現ができるように作って、ちゃんと指示して、その上でみんなの個性を活かしながら・・・っていう考え方に変わりました。

ハナ:逆に私は、蘭ちゃんがどう表現したいのかっていうニュアンスの部分をめっちゃ確認しました。「ここはこうなの?」「もっとこうがいい」っていうやり取りをして、そこを自分が昇華して形になるっていうのが今作だったんで、どれだけ汲み取れるか――蘭ちゃん的にこうだからこうしてほしいっていう部分を飲み込んで、感覚の部分よりは音の鳴りだったり強弱だったり、そこを何度も聞いて確認して。その中でドラムとの絡みだったり自分の弾くタッチ感だったりをうまく取れるように意識して、で、それを確認したうえでまた聞くっていうのを繰り返しましたね。蘭ちゃんがもっと表現したいことをこっちからも聞き出そうとして「蘭ちゃんが満足いくまで言って!」っていう感じで。“踊り子-part2-”も“暮れる”も新しくアレンジするなかで、前回と違う部分とかもっとこうしたいっていうのが出てきて、それを繋いで繋いで形にして、っていうのを密にやりましたね。それは蘭ちゃん的にも大きかったんじゃないかなって。

あららぎ:うん、今までは責任がないわけじゃないけど、放り投げてみんなに汲み取ってもらってた部分もあったし、メロディーラインってボーカルのものだから自分が踏み込んじゃいけない領域なのかなって思ってたんですよ。だけど、それはもう関係ないな、と。いろいろ意見してちょっとぶつかるところもあったけど、あとはもう彼女の表現だし、共有できたかなって思います。あと今回は、自分が持ってきた曲に付く歌詞がドンピシャすぎてそこの感動もあった。

―今までしてこなかったそういう密な意見交換をするのは、勇気がいることじゃなかったですか?言うのちょっと怖いなって思ったり。

あららぎ:それはありました。みんなそれぞれプライドがあるだろうし、怖い部分もあったけど、バンドとしての成長というか、そういうのがあって生まれる何かがあるし、ここで怖がっても仕方がないなって思って。

なおきさん:ゼロから1をつくるのと、1を100に広げる作業があって。何もないところからフレーズを作る人と、それを広げる人って全然違うじゃないですか。どっちが難しいかって言ったら前者のほうが難しくて、それをした人にしかわからないことがある。だから、さっきの責任っていうのはそういうことだと思うけど、ゼロを1にした蘭ちゃんがどうしたいかっていうのは絶対にみんなで知っておかないといけないと思うし。今までは蘭ちゃんが持ってきたフレーズを、基本的に各々自分がいいと思うフレーズで広げていて。だから、自分がいいと思って弾いているものを「それは違うよ」って言われたら喧嘩になるじゃないですか。でもそれがないといいものが作れないって思ったんですよね。確かに空気が悪くなる時もあったけど、喧嘩したというわけではなく、うまく意見のすり合わせができたかなって思います。ただ、曲を作るというのはこういうものだっていうのが分かったというか、この作業はバンドで曲を作っていく以上付き合っていかなきゃいけないものだなって思いましたね。

あららぎ:うん、踏み込んだコミュニケーションができるようになってバンドが一皮剥けた感じはすごくある。

―話を聞いてると、バンドの表面的なことではなく、すごく根本的な部分から変化して成長したんだなっていうのがすごく伝わってきます。アルバムの中で、聴いて欲しいポイントや工夫したところなどありますか?

あららぎ:“city boy”に関しては、私はメロディーラインは作ってなくて。作曲の時、普段はギターでフレーズを作りながら鼻歌を歌ったりするんですけど、それをあえて言わずにボーカルが作ってきたメロディーラインを乗っけたんです。だけど、自分が持ってきたボーカルラインをギターにしたらめっちゃいい感じになったところがあって。ギターソロのあとのチョーキングのあたり。あそこはもともとボーカルラインとして自分がハミングしてたもので、途中で思い出してギターにしてみたらめっちゃハマりました。

ハナ:“Came Sun!”と“フォルマッジ”はライブでも結構やってて、アップテンポでライブ映えする曲なんですけど。フレーズというよりはライブ感を重視して録ったという面があります。ライブの中で自分が上がってくるポイントだったりドラムとの絡みだったりは、ライブで作ってきた良さをパッケージしようっていう想いがあって。この2曲はかっちり決め込んで録るというよりはノリを出して、ライブっぽさ、ニュアンスの部分を重視して録ってるんです。ライブで見たときに、きたー!っていうポイントになってほしい。リズム隊のグイっと感はポイントだと思います。

なおきさん:プリプロの段階でドラムは全曲フレーズを決めておこうって言われてたんです。レコーディングの日数の関係で、当日あれこれ変えてたら時間がかかるからっていう理由で。だけどその2曲は自分的には決めたくなくて。あの場の雰囲気でなにも考えずに叩いたフレーズがそのまま入ってる、だからある意味ライブそのままの感じです。

ハナ:曲の土台の中でなおきさんが「こうやってやろう」って、頭で考えるというよりは体が動いたっていう感じ。ほかの曲に比べて雰囲気がちょっと違うかも。

なおきさん:ペロペロしてやりたいわズ。って歌モノもあれば変わった曲もあるし、フレーズの組み立ては結構難しくて。ドラムは全部譜面に起こして、紙の上で結構考えました。“Furico”の、8ビートから跳ねたリズムに変わるところは聴いて欲しいかも。自信あるアレンジというか、あれを入れたのは正解だったって、音源を聴いて思った。

ハナ:聴いて欲しいところいっぱいあって本当は全部言いたいんじゃろ?(笑)

なおきさん:うん、そう(笑)。一番好き勝手やってるのは“クリーニングデイ”かな。

あららぎ:“クリーニングデイ”は見どころ満載だよね。ドラムは結構、放し飼いみたいな感じ(笑)。なおきさんらしさが出てると思います。“サバイバル・ガール”はもう原型をとどめてないよね。本当にもうこいつが曲者で。もともとあった曲を分解して、その一部で作り直した曲なんです、全然違う曲になっちゃって。

なおきさん:うちのおばあちゃん家で合宿して、めっちゃ頑張って作ったのに結局ボツになって(笑)。その時のメインのメロディーとは別のものがこの曲になって。

ハナ:これが一番難産だったんじゃない?

あららぎ:レコーディングの段階でもちょっと変えたもんね。

なおきさん:リズム隊を録ってた時はあららぎプロデューサーが横にいて(笑)、「それは変えよう」って指摘がちょっとずつ入って。

ハナ:だけど、録る段階でそういうジャッジができたのはよかったなと思う。「まぁ、いいか」じゃなくて気になったところを言ってくれて。

あららぎ:それまで、3人でスタジオに入った時にもしっくりこなくて。

ハナ:何回も確認して迷宮入りして、それがいい気もするし、もっと他のフレーズがあるのか、「もうわかんない」ってなったり。

なおきさん:大サビ前にギターだけになってドラムが入って、っていう部分はすごい変えていってて、最初はもっと静かだったけど最終的にああいう感じになって。“暮れる”とか“朝がくるから”とかをやってるバンドが演奏してるとは思えないような雰囲気。そういう意味で振り幅が広いし、蘭ちゃんの不思議さを一番表してる曲のような気もする。蘭ちゃんの作ってくる曲は本当に多彩さとか対応力を求められるよね(笑)。

ハナ:加入して、あ、難しいなって気づいたね(笑)。だけど基本的には面白いなって思いながら作れたんですよね、本当にバラエティに富んだアルバムだと思います。

―この曲はアルバムの中でも存在感ありますよね。CDがリスナーの手に届くのが楽しみです。ありがとうございました。

2016.9.7 on sale!

¥2,000(+ tax) / AOME-0014

1.city boy

2.Came Sun!

3.踊り子 -part2-

4.クリーニングデイ

5.フォルマッジ

6.サバイバル・ガール

7.Furico

8.海で会えたら

9.暮れる

10.朝がくるから

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