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ADAM at

  • nishi-kaze
  • 2016年5月27日
  • 読了時間: 8分

「ピアノのインストバンド」「ジャズっぽい感じ」といった僅かな事前情報から、どれほどオトナっぽいライブをされる方々なのだろうかと勝手に想像を誇大させ、多少身構えながらライブハウスへ出かけたのです。

が、それは完全に間違った先入観でした。堅苦しさは皆無で、自由に踊れる和やかで楽しいライブを披露してくださいました。

音楽に言葉がない分、純粋に音だけで遊ばせてくれるADAM at。未体験の方は是非、ライブへ遊びに行ってみて欲しいです。

Interview:Miyaco

―昨日初めてライブを拝見したんですが、アー写のイメージと全然違いました。面白いこともたくさん話されていて(笑)。

苦笑いでした?アー写詐欺って最近言われるんです(笑)。

―そうなんですか(笑)。あのMCのおかげで緊張がほぐれました。

インストバンドなので、お客さんはどういうテンションでライブを見たらいいのか分からないこともあるみたいで。歌がないから緊迫したイメージもあるじゃないですか。特に、僕達はジャズにカテゴライズされることもあるので、かしこまって聴かなきゃいけないっていう先入観もあったりするんですけど。僕達は自分の音楽はジャズだと思ったことはないんですけどね。だから、いろんな話をして一旦ハードルを下げることで、気楽に楽しんでもらえたらいいなと思ってやってますね。

―そうなんですね。「自分は今、音楽を聴いてるんだ」っていう実感が湧いてくるライブでした、ピアノの力強さが凄く感じられて。

ピアノの力を感じてもらえたのは嬉しいです、僕はあまりテクニックがある方ではないので歌メロをピアノで弾いてるような感じで、そこに力を入れている面もありますね。

―ジャンルの違うバンドとの対バンを組まれていることも多いようなのですが、それは意図的にされているんですか?

どちらかというとそうですね。同じジャンルで集まるだけじゃなく、いろんな繋がりを持ってお互いに引っ張って行けたらいいなっていう気持ちもあって。

―そうなんですね。お客さんも対バンで違うバンドを知ったり気に入ったりすることもあると思うので、いいなと思いました。

そうですよね。多国籍料理の居酒屋みたいな感じで、食べる機会なかったけど食べたら意外に美味しいじゃんっていうことあるじゃないですか。パクチーみたいな感じです(笑)。

―なるほど(笑)。今もバンドメンバーは固定されていないんですか?

固定してないんですけど、ここ2年くらいは同じメンバーでやることが増えてますね。各々別の音楽活動をしているので、彼らが出られないときには他の人にサポートしてもらう形でやってます。

―すごく色々な音楽の要素を感じたんですが、音楽的なルーツを教えてもらえますか?

もともとピアノは嫌いだったんです、5歳から親に無理やり習わされていたので。小学校5年生くらいの時に父親がThe BeatlesのCDとピアノ譜を買ってきてくれて、すごくいい音楽だなと思って、それを自分で弾けるようになって、少しピアノが楽しくなってきたんです。中学2年生の時の音楽の先生が少し変わった方で、夏休みに、2人以上で組んで曲を練習して新学期に披露するっていう課題を出したんですね。それでクラスの子たちと演奏したのが初めてのインストバンドでした。僕がピアノで、ギターとベースとドラムの4人編成で。その時くらいから僕はロックを聴くようになりました。当時はバンドブームで、ブルーハーツとかBOØWYとかBUCK-TICKとか、鍵盤のいないバンドが流行っていて。だから「ギター良いな」とか「ボーカル良いな」って思ってました、ピアノ目立たないなーって(笑)。その後、いろいろあってデスメタルにハマる時期もあったんですけど、最終的にこういうジャンルにはまったのはSOIL&"PIMP"SESSIONSと仲が良かったり、SPECIAL OTHERSが好きになってからですね。

―音楽をやる側になったきっかけは?

僕、もともと浜松で個人イベンターをやってたんです。ツアーバンドから依頼があったら地元バンドを集めてイベントを組むっていうことをやってたんですけど。広島もそうかもしれないんですけど、浜松って車社会なんですよ。会社勤務で17時や17時半に仕事が終わって街中に出てくると渋滞するじゃないですか。そうすると18時半開演に間に合わない人が多くて。だけど個人のイベンターとしては1番手のバンドから見てほしい気持ちがあるから、自分でオープニングアクトをやったんです、それが一番最初です。場繋ぎですね。

―そうなんですか!その頃からオリジナル曲を?

最初は、BRAHMANとかNorthern19、dustboxの曲をボサノバ風にアレンジして弾き語りしてたんです。そのうちに、だんだん自分でバンドをやってみてもいいのかなと思うようになりました。

―すごく変わったきっかけですよね。

そう、真逆ですよね。バンドから裏方に行かれる方も多いけど、僕の場合は裏方からバンドへ行っちゃってますもんね。

―それが5年くらい前なんですね、とても興味深いです。曲作りはどういう風にされているんですか?

僕は曲を作ろうと思って作ったことはなくて、でたらめにピアノを弾いて、ちょっと引っ掛かるフレーズがあったらそれを肉付けして。ある程度できたら録音してバンドメンバーに送って「いつも通りやってくれ」って頼んでアレンジしてもらうんです。メンバーの好きなようにやってもらってますね。

―インストバンドの曲っていうのはタイトルが結構重要というか、曲のイメージを決めてしまう面もあるかと思うんですが、タイトルはどういう風に決めていますか?

曲を作ってみて、なんとなくイメージを合わせてるんですけど。謎かけ的な事を入れることもありますね。ADAM atっていうバンド名も、本名が「玉田」なのでそれを逆から読んだり、1stミニアルバムの『Silent Hill』は「静岡」を英語にしてみたり。2ndアルバムの『CLOCK TOWER』は、父親が北海道出身なので、北海道と言えば札幌、札幌と言えば時計台っていうことでそのタイトルにしたり。CDを2枚出させてもらって全国ツアーをたくさん回ったんですけど、その時に「家っていいな」と思ったので今回は『スウィートホーム』っていうタイトルにしました。そんな風に遊びでやってます。

―アルバムの曲の事を少し教えてください。1曲目“スウィートホーム”という曲は、優しい曲ですがセンチメンタル過ぎなくていいなと思いました。アルバムタイトルにもなっていますが、どういうイメージで出来た曲なんですか?

あれはもともと、“スウィートホーム”というタイトルではなかったんです。後半にある“Re:Ppin”って曲がもともと“スウィートホーム”で、“スウィートホーム”はもともと“Re:Ppin”って曲だったんです。

―そうなんですか、逆だったんですね。

そうなんです。“Re:Ppin”って曲は逆から読むとニッパーなんです。僕はビクターに所属してるんですけど、ビクターももともと好きだったんでニッパー君にちなんだタイトルを付けたんです。ニッパー君が蓄音機で聴いてるのは「his master’s voice」ですけど、“Re:Ppin”の後にピアノだけの“My Master's Voice”っていう曲を入れているんです。ニッパー君の目線で「僕のご主人の声を聴いてます」っていう曲を作って、そのアンサーソング的な感じで“Re:Ppin”を作りました。だけど、リハをやってるうちに「“Re:Ppin”の方がタイトル曲に合うんじゃないか」っていう話になったので、みんなが言うならそうしましょうかっていう感じでタイトルが入れ変わりました。

―みんなの意見も入れて、結果的にそうなったんですね。そういう目線で、もう一度聴いてみますね。“More Better Words”っていう曲ですが、インストバンドが「word」っていう言葉を使っていると、どういう意図のある音なんだろうって想像してしまうんですけど、この曲で表現していることって何かありますか?

その曲のタイトルについては、Extremeの“More Than Words”っていう曲と、ジャズの昔からのスタンダードで“Mo’ Better Blues”っていう曲があって。どちらもいい曲なのでそれに近い曲を作りたくて、間を取ってそのタイトルにしました。言葉を使わないインストバンドなので、「もうちょっと上手く言えたらな」とか「言葉を使えたらな」っていう意味でもはまったのかもしれないです。僕としては、音楽にメッセージ性は全く持たせていなくて、良い音だけお客さんの耳に入ってくれたらそれで満足なんです。

―深く考えずに、聴いて楽しむっていうスタンスで聴いて楽しんだらいいんですね。昨日のライブでも、私の目の前にいたスーツのお兄さんがめちゃくちゃ踊っているのが凄く良い景色だなと思ってました。

そうなんですね、嬉しいですね。

―広島はもう何度か来られてるんですよね。

そうですね、2年前に初めて来させてもらってから今回で4回目でした。いろんなバンドから「広島のお客さんは難しい」っていう噂を聞くんですけど、心の鍵を開けた時の怒涛のなだれ込みは凄いですね。バンド側が、鍵の開け方を見つけてないだけなんだと思います。

―未だに言われてるんです、広島はお客さんが入りにくいとか、シャイで静かだとか。

そうなんですね。広島の県民性は凄く好きです。広島のちゃんとした文化もあるし、確立されているけど、それを外に押し付けないところもあって奥ゆかしいですよね。尾道とかも大好きで、住みたい町のひとつですね。

―尾道は本当に良い街ですよね。是非、何度でも広島に来てください。

そうですね、お客さんの熱が冷めないうちにまた来たいです。

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