魔法少女になり隊/サイダーガール
- nishi-kaze
- 2018年4月10日
- 読了時間: 3分
魔法少女になり隊/サイダーガール
2018.3.16@広島4.14
Text::Miyaco
先に登場したのは魔法少女になり隊。
何なんだ、このバランス感覚は。メンバー全員、個性が際立っているだけでなく、それを存分に発揮しているのに散らかっている様子は全くなく、バンドとして(というより表現として)十分すぎるほど力強く成立している。一見同時に共存できそうにない多くの要素が全部同時に活きているというか、いろんなカルチャーがひとつのバンドを通して見事にまとまり表現されているという感じ。様々な価値観がたくさん詰まっているのも面白いし、○○っぽいと言い表すことが難しくオリジナリティーそのものというべきアイデンティティが垣間見えるのも、ある意味現代的なのかもしれない。
歌の魔法がかかった火寺バジルがマスクを外して表情豊かに歌う姿は、可憐であり、同時に頼もしくもある。テクニカルなギターを実に楽しそうに聴かせてくれるウイ・ヴィトン。もう一人のギタリスト・明治は、存在するだけで場が華やぐ美しさを放っているのだが、演奏する姿は相当クール。そして、gariの派手なパフォーマンスやデスボイスがそれらにマッチするのが本当に妙味なのだ。彼の手掛けるゲーム世界のようなVJが、所謂ライブハウスの照明ワークとは異なる光でバンドを照らすものまた、彼らのライブを唯一無二に仕立ててくれている。
空間全部が彼らの手中にすっぽりと収まっていて、私自身がその世界に容易に飲み込まれてしまった。音源や動画には収まりきらない魅力が所狭しと飛び交う、本当にパワフルなライブだった。

SetList
1.KI-RA-RI
2.RE-BI-TE-TO
3.BA・BA・BA ばけ~しょん
4.アルテ魔ダンテ
5.革命のマスク
6.Sayonara fantasy
7.ハッピーエンドの魔法
8.おジャ魔女カーニバル‼
9.ヒメサマスピリッツ
10.完全無敵のぶっとバスターX
11.冒険の書1
続いて登場したのはサイダーガール。
天井を軽く突き抜けてそのまま空に駆け上るようなライブだった。
佇まいは落ち着いているようにも見えるが、演奏される楽曲は感性の豊かなものばかり。メロディーの美しさがキラキラと光っていて、それを支えるアレンジや演奏がとても頼もしく土台を支えながら、歌の背中を押してくれているようなサウンドだ。バンドの心情が伝わってきそうな叙情的な旋律が、歌詞の世界や響きを緩やかに、でも確実に増幅してくれている。“ドラマチック”から“空にこぼれる”の並びは特に引き込まれたし、彼らのこの特別な透明感に思う存分我が身を任せたいと思った。
ステージ上での表情や、MCで話す時の声のトーンにはあまり抑揚をもたらさないYurin(Vo./Gt.)だが、そういうものは全部歌に詰まっているのだと感じる。多少の気怠さを纏った柔らかな彼の歌声は、滑らかに耳に入ってきてしっとりとした残像を残していく。それなのに、鮮やかさと軽やかさも同時に持ち合わせていて、遠くまでスッと突き抜けるようなイメージも沸いてくるのだ。
Yurinがハンドマイクで歌うダンスナンバー“メランコリー”や、3月28日リリースの新曲“パレット”などは私たちのテンションをグッと押し上げてくれて、オーディエンスも体を揺らしたり手を挙げたりと思い思いに自由に楽しんでいた。
ライブの後には、内向きにぎゅっと縮こまった心を温かく解きほぐしててもらえたような感覚が残った。
「“メランコリー”で、魔法少女になり隊のみんなと踊りたかったね」という言葉もあり、もしかすると今後どこかで実現するときが来るかも??と、心の隅でちょっとだけ楽しみにしておきたい…!

SetList
1.エバーグリーン
2.メッセンジャー
3.ドラマチック
4.空にこぼれる
5.ナイトクルージング
6.なまけもの
7.メランコリー
8.パレット
9.オーバードライブ
Encore
1.No.2