THE PINBALLS

THE PINBALLS

Leap with Lightnings tour

2018.6.5　@広島Cave-Be

Text：Miyaco

序盤は重低音が腹に響くダークな曲が続いた。その音は、クールな表情で演奏するメンバーの内側に宿る熱を想像させる。彼らの熱はオーディエンスへも徐々に伝染し、フロアは1曲ごとに躍動感を増していく。一瞬も狂うことなくがっちりと噛み合う4人のタイトな演奏、磨き上げられたパフォーマンス。それらには、バンドが築き上げた軌跡にしか描き出せない男らしい力強さが存在していた。

“ニューイングランドの王たち”ではロックンロールの優しい部分を繊細に見せてくれるし、そうかと思えば“Lightning strikes”の鋭利なサウンドを容赦なく叩きつけてくる。「（自身の）ギリギリのところまで歌う」と宣言した古川（Vo.）の、ストレートにこちらへ立ち向かってくるスピリット。それがオーディエンスの心に爪痕を残す瞬間が目に見えるようだった。

終盤、ステージとフロアの境界でメンバーとオーディエンスの感情が真正面からぶつかり合う光景は非常に生々しく、またそのぶつかり合いがTHE PINBALLSの心をどんどんネイキッドにしていく様にヒリヒリさせられた。着飾るものも嘘もない、本当のことしか存在しないライブだと思った。

こんなに痛快なライブを見せられたらクセになるに決まっている。

ひとつ付け加えておきたい。

メジャーデビューを祝う今回のツアー。あの空間には、ここから始まる新しいフェーズへの明るい期待は当然のことながら、結成からの決して短くなかった時間への称賛も満ちているように感じられた。エキサイティングな気持ちと一緒に、少しの温かい気持ちも持ち帰ったような気がする。