音楽食堂ondo
- nishi-kaze
- 2018年6月28日
- 読了時間: 8分

『西風によせる歌』では今後、広島に所縁のある音楽好きの方や、音楽に精通されている方のお話を聞く企画をゆるりとやっていこうかなぁと思っています。第一回目は、個人的にも大好きなお店、美味しいごはんとかっこいい音楽が楽しめる「音楽食堂ondo」の店主・森脇敏さんのインタビューをお届けします。こだわりの音響設備、広島という街で音楽を楽しむことなど、様々なこだわりや想いを話してくださいました。
Interview:Miyaco
―お店を開店されたのはいつですか?
2015年3月からです。
―音楽食堂ondoを始めようと思ったきっかけは?
もともとIZMICALっていうDJイベントをやってたんですけど。広島駅西で立ち飲み兼レコード屋「盤処 呑処 FRESH」っていう店をやってるオキトっていうやつと、10年くらい前に立ち飲み屋をやってた時期があって。大学卒業してすぐくらいの時に1年くらいかな。でも、不動産の関係でそこを出ないといけなくなったんです。その時はDJをいっぱいやりたい気持ちもあったし、憧れのお店もたくさんあるっていう理由で東京へ引っ越して。憧れていたお店やイベントに足を運ぶ中で「30歳には広島に戻って経験したことをフィードバックする何かをしたい」という思いが出てきて。立ち飲み屋の経験もあったし、DJができるお店がいいなと思ってました。
―憧れのお店っていうのは?
東高円寺にあるGrassrootsっていうお店。狭いところなんですけど、俺らが20歳くらいの時に人気になっていたDJ光さんやDJ NOBUさん、世界的に有名なDJの方々や、BLACK SMOKERっていうレーベルの人達も出演していて、そういう人達が載ってる情報誌を見てるとみんなGrassrootsを経由してて、いつか行ってみたいと思ってたんです。そこでDJやらせてもらえたらいいなと思っていて、時間はかかったんですけど出演させてもらいました。あとは、青山にある蜂っていうクラブや、吉祥寺のcheekyっていうバーにも行ってました。中野のheavysickZEROっていうクラブではバイトしてました。すごく良いところがたくさんありましたね。
―広島に帰ってきたのは?
29歳のころなので5年くらい前ですね。東京には5年間いました。
―東京に出る前はどの辺りでイベントやDJをされていたんですか?
edgeでもやっていたし、前にセクシャルアパタイトっていうクラブがあって、そこでやっていました。
―森脇さんはどういう音楽を聴いてこられたんですか?
中学生の頃はハードコアとかメロコアが流行ってて、Hi-STANDARSが流行ってました。広島のハードコアバンドも流行ってたからCD借りて聴いてました。中3の時にお兄ちゃんに日本語のHIPHOPのCDを借りてからだんだんそっちに傾倒して。高校生のときに親からお金借りてターンテーブルとミキサーを買って、大学生くらいまでHIPHOPばっかり聴いてました。大学卒業してから1年くらい、リチュアルっていうレコード屋さんでバイトもしてましたね。
―高校生のときからレコード聞いてたんですね。
高校生の頃は時々レコードも買いつつ、でも通学中はCDウォークマンで聴くのが主だったんでCDも買ってましたけどね。大学くらいで昔の音楽―ジャズ、ソウル、ディスコとかも好きになって、そこからハウス、テクノも好きになって、ブラジルの音楽とか、クンビアとか、民族音楽もハマったりもしました。ハウスとか打ち込みとかプログレにハマった時期もありましたね。あと、大学を1年休学してニューヨークへ行ってた時期があって、それもすごく影響を受けました。そこでハウスとかテクノとかダンスミュージックも好きになったかな。トリップホップって言うんですけど、ラップの入ってないくらいブレイクだけのHIPHOPが流行ってました。そこでDJ KRUSHさんとか、すごく憧れだった人たちのDJを聴いて。HIPHOPのDJだと思って憧れてたDJ SPINNAとかNYのDJを実際に見たらダンスミュージックやハウスとかも流してたのが心を開かせてくれたというか。ハウスとかは、世間ではキラキラしたのばっかりが流れてたからちょっと先入観があって聴いてなかったんだけど、でも「あ、これもHIPHOPやJAZZと変わらないブラックミュージックだ」って気付かされて。だから若い人たちも、表面だけで誤解してる人がいると思うんですけど、惑わされることなくまずは心を開いて聴いて欲しいですね。
―ondoのコンセプト、こだわりって何ですか?
こだわりというほどではないけど、カチッとしたクラブっていう感じよりは音楽聴けて、喋れて、ごはんが食べられて、バーほどではないけどお酒もちゃんと出せて、っていう風にしたいです。東京にいたときに東日本大震災があったんですけど、それ以降食べることがすごく気になるようになって、放射能とか産地とかを考えるようになって。自分ではジャンクなものも食べるけど(笑)、お店で出すものは可能な限り安心して食べてもらえるようにしたくて、化学調味料とか農薬もできるだけ少ない食材を選んでます。で、みんながゆっくりお喋りができて、お友達ができる場所にしたいっていうのが最初からありましたね。
―メニューも日替わりで毎日食べても飽きないし、すごいなーと思って見てました!料理はどこかで勉強されたんですか?
料理は歩美が全部やってくれてるんですけど。本格的に勉強したわけじゃないんだけど、東京のカフェで厨房に入ったりしてて。青山蜂のムーンウォークっていうイベントでケータリングを出してたんですけど、方々で「あゆみごはん、美味い」っていう声を聞くようになったんで、これはいけるぞって思ってました(笑)。日替わりメニュー、毎日よく考えてくれます。
―ここまで話して、東京での経験がすごく活きてるのかなと感じました。
そうですね。いろんな価値観を育ててもらったというか。すごいお店とかDJが身近にいますしね。当時は生意気で「DJでもっと前に出たい」と思ってたけど、今はちょっと謙虚になって、すごくいろんなことを教えてもらったなと思いますね。
―東京ってハコの数もイベントの数も圧倒的に多いですもんね。でも広島では東京と同じようにはいかないし、同じようにやる必要もないんですけど、どうしたらここが面白くなるのかなっていうのは考えますよね。
俺もそれは、帰ってきたときにジレンマがありましたね。だけど「東京はこうなのに」っていう感覚とかそれを口に出すのは一番良くないことだと思ってて。東京は確実にスペシャルなので、そこと比べるんじゃなくて、ここでできることに一生懸命になって広島は広島で作り上げるしかないのかなっていう風に気持ちが切り替わった時がありました。最初はちょっともやもやしてましたけど、でもそれって広島のせいじゃなくて自分のせいだなって。

―その中でできることは何かなって思うことのひとつがondoに繋がってるんですかね。
まさにそうですね。イベントの場所として使ってもらえるのはありがたいですし、自分たちで企画してることも多いですね。守りに入っても仕方がないので、やらないとね。あとは、やってるだけでも足りなくて、知ってもらう努力も同じくらい大事だなって思います。自分たちがやってることの発信もすごくやりたい気持ちもあるんです。まだそこに時間を割くことが出来てないので、今後頑張りたいですね。
―ondoは音質もすごくきれいですよね。
機材は、実は結構嫌がられるんですけど(笑)、ミキサーはビンテージで80年代のものなので、30年くらい前のものですね。独特の柔らかい音になるんです。それがすごく好きで、東京にいるときからちょっとずつ買いたしてました。
―ミキサー次第でそんなに変わるんですね。
だいぶ変わりますね。針でもケーブルでもアンプでももちろん変わるんですけど。最終のアウトプットはスピーカーなんですけど、うちのスピーカーはオーダーで作ってもらったんです。姫路にあるfab-spaceっていうクラブをやってる最高音響っていうクルーがいて。野外イベントでスピーカーを出したりしてる方たちなんですけど、その方たちに「このお店でこういう音を出したい」ってお願いしました。僕の力不足でまだまだこのスピーカーのポテンシャルを出し切れてないんですけど、もっといい音作れると思うんで頑張ります。
―お店のイベント情報はどこで確認したらいいですか?
HPとブログをやってるのと、あとはFacebookページとInstagramもあるので、その辺りを見ていただけたら。
―音楽以外に興味のあることはありますか?
スポーツ観戦ですね。もともと小学校から高校卒業までサッカーやってたんですけど、音楽にハマっちゃったんで(笑)。カープはずっと好きで見ますし、大学時代にテレビ局でバイトしてた時期もあったんで、カープ中継の手伝いに行ったりもしてました。パルコ前のテレビ宣言の中継もやってました(笑)。東京はDJとバイトでそれどころじゃなかったけど、広島だとちょっと落ち着いたのでよく見てます。野球とかサッカーとか、歳をとってきたのか最近はゴルフとか競馬も面白くなってきました(笑)。
―音楽の話ばっかりしてしまったんですけど、音楽がわからない人も食事だけで寄っても大丈夫ですか?
もちろん。基本的に食堂なので食べに来てください。
―最後に、ondoがどんな場所になってほしいと思いますか?
質問の意図と少しずれるかもしれないですけど、雰囲気とかは最初に話したような感じで文化的な刺激があって、お腹も満たせて、みんなが笑顔で過ごせて明日から頑張ろうって思える場所であったらいいな。あと、最近友達に子供ができることが増えたので、その子どもたちが遊びに来てくれるようになるまでやれたらいいなと思います。一緒にお酒を飲みたいですね。

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