カナタ『藍のうた』
- nishi-kaze
- 2015年8月30日
- 読了時間: 2分

広島のオルタナティブギターロックバンド、カナタがまたまた全国流通盤をリリースします。しかも、待望の1stフルアルバム!
なんだか眠れない夜や心の置き場がないような夜、ヘッドフォンを付けて静かに再生すると、その瞬間にしか見えない情景と感情が浮かんで来ます。月明かりの温度や柔らかさ、そして冷静さが似合うし、月に照らされる貴方のために存在するような音楽と言っても過言ではないはず。
今までだってカナタの音楽には様々な色―どれも決まって落ち着いた色ばかりなのですが―や、淡い光を連想させられてきました。それはきっと、彼らが「どうしようもない夜に思うこと」をテーマに制作をしているからなのでしょう。しかし、バンドとして経験値を積み上げてきた今だから出せる色や光(あるいは暗がり)が間違いなくあって、それを今作でも存分に味わえるのではないかと思うのです。今作について、個人的には深い藍色と薄くて優しい光のイメージがあるのですが、そこへ来てこのアルバムタイトルですから想像力を刺激されてしまい、聴きながらいろいろな映像を脳内に繰り広げてしまいました。そんな風に、聴き手の中に小さな内観を生むアルバムです。
綺麗な日本語で時に生々しく表現する歌詞とアン(Vo./Gt.)の感情豊かな歌。それを取り巻く音には無駄な詰め込みも無意味な空白もなくて、耳にスルスルと溶け込みます。この音楽を音源で堪能するのは、パッキングされた美しさを損なうことがなくてとても安心な楽しみ方なのだけれど、3人の吐き出すものが強く噛み合ってひとつになるライブも是非体験してみてください。楽曲の美しさを臆することなくダイナミックに膨れ上がらせ、より人間らしさを宿しながら響いてきます。全国各地でレコ発ライブも決まっています、そちらも是非チェックしてください!
Text:Miyaco
2015.09.09 release
¥2,160(+tax) / kntx0002
『藍のうた』
1.yume ni mizu
2.黒の虜
3.秘密の箱
4.月になって
5.滲んだ三月
6.深く沈む ※再録
7.帰路
8.夜明け前 ※再録