おとぎ話『眺め』
- nishi-kaze
- 2018年6月5日
- 読了時間: 2分

今作を聴き終えた最初の感想は「このアルバムの主人公は誰なのか。誰が、どこから、何を見ると、このような景色が目に(心に)映るのか」でした。そして、その答えは聴くたびに変わるような気がしています。とても不思議で、間違いなく重要な作品です。
前作『ISLAY』を聴いたとき「本当に素晴らしい作品だし、『CULTURE CLUB』を超えた過去最高傑作だ」と心底思いました。しかし今作は、その最高傑作を軽々と超えてしまったように感じます。“作品を出すたびに前作を超え、最高を更新し続ける”というのは、多くのアーティストの理想とするところでしょうし、それを実際に体現し続けることが容易ではないこともまた、既知の事実なのかもしれません。だからこそ、それが目標や理想になり得るのでしょう。今、それを取り熟すアーティストの筆頭はおとぎ話だと胸を張って言い切りたいのです。作品がクリエイティブであればあるほど、作り手と聴き手の“最高”が合致しないというギャップを生じることもありますが、おとぎ話のもつポップさや無邪気さは失われていないので、そんな不安も十分にクリアしていくんじゃないかと感じています。
有馬和樹(Vo./Gt.)の超豊富な音楽やカルチャーへの知識とリスペクトが多彩な楽曲を生み出しているのは相変わらずなのですが、境界線の曖昧な透き通ったものに柔らかな輪郭を与えてくれるようなアンサンブルの一音一音が、逐一優しい体温を孕んでいて琴線に触れてきます。4曲目『綺麗』のMVを初めてYouTubeで見たとき、光のシャワーで傷を癒されるような心地が残りましたが、アルバムを通して聴くときのそれは少し違った感触に変わりました。収録されている楽曲同士が手を取り合い、影響し合いながら、作品の奥行きをつくり上げている証拠かもしれません。
自分がこの世界に入り込むこともできるし、『眺め』というタイトル通り、どこかからこの世界を眺めているような感覚を味わうこともできます。そして、聴くたびに様々な想いやストーリーが浮き立ってくるのを感じられるはずです。この作品、どうかご自身の感性を総動員して確かめてほしいです。
Text:Miyaco
2018.6.6 on sale
¥2,600(+ tax) / PECF-1153 felicity cap-282
1. HOMEWORK
2. ONLY LOVERS
3. HEAD
4. 綺麗
5. 魔法は君の中に
6. さよなら、またね。
7. ふしぎソング
8. 素顔のままで
9. 純真
10. LOST PLANET
11. EARTHBOUND
おとぎ話『眺め』リリースツアー「絶景2018」
■対バン編
6/10(日)東京新代田FEVER
w/SISTERJET
6/16(土)大阪十三FANDANGO
w/カジヒデキ
6/17(日)名古屋今池得三
w/Analogfish
6/30(土)福岡UTERO
w/忘れらんねえよ柴田
7/1(日)広島4.14
w/忘れらんねえよ柴田
7/8(日)仙台Flying Son
w/HINTO
7/21(土)札幌SOUND CRUE
w/有馬和樹
■ワンマン編
9/14(金)名古屋APOLLO BASE
9/21(金)大阪梅田Shangri-La
9/23(日)東京渋谷CLUB QUATTRO
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