arko lemming『PLANKTON』
- nishi-kaze
- 2015年10月29日
- 読了時間: 2分

有島コレスケの多才さは、私がここで弁を弄するまでもなくとっくに証明されている事実なのですが、この作品を聴いた時、それを改めて目の前に突き付けられたような気がしました。
繰り返し聴き込んでいるのですが、どれだけ聴いてもこの楽曲達は決して私の手中には収まらないような感覚が残るのです。真っ白な広い部屋に放り出され、現在地を確認したくて壁があるはずの方向へ一生懸命手を伸ばすのだけど、一向にそれに触れられないような。奥行きがどこまでもどこまでも続いている感覚と、だからこそのワクワク感が、何度聴いても消えないのです。ちょっと不思議で、大好きなアルバムになりました。
“街”から“空けたもの”への開放的な展開や、浮遊感と無機質さが絶妙な“Sigh”、夏の日差しが似合いそうな“炭酸”、グッドメロディーが際立った“Harm”、スローで柔らかいメロディーに乗る濃厚な言葉に思わず自分の心を重ねてしまう“稀ないもの”。そして透明感を持ったまま音が淡く消えていく“肌”。その儚い終わり方に、この真っ白で広い部屋自体がそもそも幻想で、ここには最初から壁なんてなかったのかもしれないと思ってしまうほど。
個人的には、歌詞にも注目して欲しいと思います。言葉のチョイスや並びが、奇を衒う訳でもないのに興味深くて、ハッとする発見が散りばめられています。
この作品(というよりこのプロジェクト)を、「ソロワーク」ではなく「1人バンド」と称している理由と説得力は、全てこの音源に乗っかっているように思います。この音楽は間違いなくバンドのものだ。
Text:Miyaco
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『PLANKTON』
1.街
2空けたもの.
3.Sigh
4.灯台
5.Pale Blue Dot
6.炭酸
7.Harm
8.稀ないもの
9.肌